12月も残り数日となり、2025年のカレンダーも残り少なくなってきました。
児童養護施設の児童たち、とくに高校生にとっては、年が明けると春に向けて「自立」という言葉を意識する季節がやってきます。
二葉むさしが丘学園では、切れ目のない支援の一環として「措置延長」という選択を視野に入れています。
この制度は児童が18歳を迎え、高校を卒後するなどした後も、いきなり1人暮らしに移行するのではなく、生活面での支援を受けながら施設で生活できる仕組みです。
経済的なリスクを緩和し孤立を防ぐこと、また大学や専門学校などに進学した際、学業に専念するため、生活面の心配事を軽減するための有効な選択肢となっています。
実際、当園で措置延長を活用し進学した児童の中退率はかなり低く、卒業や就職まで安定した生活を送れているという面で、制度を利用しなかった卒園者とのコントラストは明確です。
昨今の社会を取り巻く経済状況を鑑みても、18歳で学校に通いながら、アルバイトで生計を立て、独り暮らしをなんとかやりきる、という道のりは、こと施設出身者の彼ら彼女らにとっては、かなり困難な道になってしまうことは容易に想像できます。

一方、児童養護施設に入所できる人数には限りがあるということや、利用者本人が職員からの支援に「窮屈さ」を感じてしまうことについては、慎重に考えなければいけないという課題もあります。
あくまでも、施設の支援を延長することで得られるメリットが明確であること、18歳以上へのケアをするための責務を職員が全うできること、そして児童相談所がその必要性を判断すること。
なにより、支援を受ける本人の意思や目標が最優先であることが重要です。
近年、児童福祉法の改正や成人年齢の変更(法律の種類によって解釈が一致してない部分も含む)などが立て続けに実装されており、施設職員側に求められる能力や知識も常にアップデートしていかなければいけません。
「社会的養護自立支援事業」から「児童自立生活援助事業」への横スライド、施設機能強化推進費「自立生活支援事業」の活用、種々の居住支援、そして当園でも今年度開設した「児童自立生活援助事業Ⅱ型」など。
難解な制度名とその解釈が並んでいますが、職員のやることはシンプルです。
児童の日々の生活を支え、安心で安全な環境を整えること、ともに将来について考えること。
施設利用者に限らず、若者への支援にははっきりとした正解やゴールはありません。
施設から出て行っても、措置が終わっても、大人になっても続きます。
支援を受ける当事者のニーズをくみ取り、制度について考え、改善できるところは改善し、様々な社会課題と向き合いながら。今年も残りあとわずかとはなりましたが、走り切りたいと思います。


