初めての巣立ち

おめでとう!
11月半ばから、一人暮しをはじめた利用者君が誕生しました。
   
一人暮らしまでの準備もあと少しとなったある日の夕飯後、キッチンで食器を洗いながら、
ここに来る少し前の過去の自分の姿から、ここを出るまでの今の自分の姿を、映画をみた後の感想のように語りだした少年君。

支障が無いぐらいの範囲で、ほんの少し、ここに残したいと思います。
「いや~。ほんと、お世話になりました。後輩達の今の言い分聞いてると、自分もそうだったなぁ~って思い出しますね~。
ガキだったな~。今もうすっかりおじさんになっしゃいましたよ。はははは。自分に合う仕事って何だろうって、一緒に考えてもらって、
17歳の壁でなかなか希望の仕事が無くって、きつかったっす!何も考えず選んだ仕事最初の仕事は、もう二度としたく無いっす。
○×△○×△×○○(次々と出てくる思い出話し・・・・・・・・・・・)
運転免許もすすめてもらってホントよかったっす!正直取れると思ってなかったんすけどね、免許取ったことで、今の仕事も選べたし、
仕事の環境がほんと自分の性分に合ってて頑張って続けられそうです。ほんと良かった。」

 色々ありました。いいことばかりじゃありません。喜怒哀楽かき乱されながら、本人が自分で選び、判断して、
一般的にいわれている自立(一人暮し)に辿りつけました。
 そして、この日の最後に、こんな話をしてくれました。
「一人暮しは、自由だし、楽しみではあるんですけど、誰もいないところで生活するんだな~って、、、、寂しいっす。
自分、前にも話したことあるけど、ほんと、早く死んでしまえたらって思ってたし、結婚とか全く考えられなかったんすよ。
でも、ここで生活しているうちに、自分じゃない誰かと一緒に居られるっていいかもしれないって、少しだけ、思ったりするんすよ。
こんな自分を好きになってくれる人はいないかも知れないけど、もし、ご縁があったら、結婚とかもありかなって。あはは。」
洗い終えたお皿を何度も何度も拭き回しながら、未来の自分の姿像を言葉にして置いていってくれました。
 
後日、遊びに来てくれた時、家電がまだ揃っていないから、スーパーのパンの詰め合わせばかり食べていると笑っていました。
「あったかい味噌汁って、嬉しいっす。作ってもらって食うのってあり難いことだってわかりました。」
そういって、バクバクバクバク沢山食べていってくれました。
「ほんと、嬉しくて泣きそうです!」
そういいながら、鼻をすすりながらマグロのたたきを口に運ぶ少年君。
「泣いてんの?」
と、感激して泣いてるのかと、思わず覗きこむと、

「いや、なんか秋の花粉にやられてんのか?鼻水とまらないんすよ。」

チャンチャン

さぁ。
これからが、社会の中で生きていく本当の意味での自分との闘いがはじまるのです。社会は良い事も良くないことも半々。
どんな時も一人じゃないことを感じながら歩いていっておくれ。嬉しいときも辛い時も、いつでも、帰ってきておくれ。待ってるよ!

トリノス ジュンコ